着想の技術

かわさきたけひさ

2007年07月22日 02:29

俺は11年前、北海道の網走に住んでいた時分、農業大学の学生でした。
ふるさとの群馬県から比較にならない寒い冬のある日の夜です。
飲んだ帰りに雪の道端で滑って転び、
「もう駄目だ、死ぬ。」
と生命の危機を感じ、次の日の朝機上の人となりました。


目指すは南国沖縄。


学生は金なんかありません。
飛行機代払ったら残りは2000円ちょっとでした。
でも心配ありません。金と女は後から付いてくるもんです。
経済大国日本は若者に無茶な着想を与えます。

長渕と印税生活にあこがれてギターを始めていた俺の荷物はギターと楽譜こっきり。
着替えに歯ブラシどころか、旅の必須アイテムといわれるペンとノートと文庫本すら持っていませんでした。

服装はTシャツにGジャン、Gパン。
思い起こせばその日は2月の1日。沖縄とはいえ北半球は冬真っ只中。
暖かいのは俺の頭の中だった、というわけです。


沖縄到着、雨に煙る那覇空港。
感じるのは湿気と寒さと冷たい風。

「早とちり」


脳裏に思わぬ言葉が浮かびました。

どこか暖かいところ、とりあえず街に出よう。
那覇の松山でポーク卵定食(そば付き)を食べました。
「やっぱ沖縄来たらこれでしょう!」
たった一食でエンゲル係数がウナギ登りです。

この後、帰宅するまで2ヶ月を要した避寒旅行はこうして始まったのでした。

忙しいので今日はここまで。
カテゴリーが「BISES COFFEE」になっているのは昨日の出来事が書きたかったから。
ではまた次回。



↑謎の物件。

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